逆解析とは、システムのモデルと、それに対応するノイズを含むデータを使って、システムの未知の確率的なパラメータを特定する手法です。未知のパラメータはシミュレーションでも物理データの解析でもよく現れ、この手法はパラメータの値、不確かさ、分布を定量化するうえで重要な役割を果たします。下の図は、典型的な逆解析の問題の処理の流れです。
図1:逆解析の情報の流れ逆解析で調べる未知のシステム特性には、未知の支配方程式、形状、寸法、境界条件や初期条件、材料特性、流束、力などがよく含まれます。逆解析の問題は不良設定問題であり、解が一つに決まるとは限らず、決定論的な手法では有用な結果が得られないことがよくあります。ノイズを含むデータ、数値計算の誤差、モデル化の不正確さが、決定論的な手法をさらに難しくします。確率論的な手法と不確かさの定量化は、こうした問題をより頑健に解析する手段になります。
不確かな入力の分布を知ることは、不確かさの定量化や確率論的な設計プロセスを効果的に進めるための、最初のステップの一つです。こうした分布は、部品が規格に適合しているかの判断や、システムの実際の性能の把握など、ほかにも多くの目的に役立ちます。
航空宇宙産業での典型的な逆解析の用途には、特定の圧力分布に合う理想的な形状を求めること、複雑なシステムの構造パラメータを推定すること、スキャンデータから部品の異常を見つけることなどがあります。
車両の製造では、確率的な目標を満たすシステムの設計、機械の性能データからの未知の運転条件や環境条件の推定、ノイズを含む運用データからの部品特性の同定などが典型的な用途です。
SmartUQの逆解析の推定機能は、システムのモデルと、それに対応するノイズを含む物理試験データを使って、システムへの未知の確率的な入力について、その確率分布の特徴を推定します。こうした確率的な入力は、観測しにくい物理量、物理的な対応を持たないモデルの性質、未知の境界条件や初期条件であることが多いです。
たとえば、航空機や車両で実際に使われている部品のヤング率などの材料特性は、製造ばらつきのために正確にはわからないことがあります。入力分布の推定機能は、力やひずみの測定値など、部品の応答に関するデータを取り込み、実物の部品の材料特性について、その分布の特徴を推定します。
SmartUQは、はるかに少ないシミュレーション回数と、ごくわずかな時間と計算コストで、逆解析の問題を扱えます。この効率と速さによって、より多くのデータに逆解析を適用でき、より網羅的な解析と不確かさの定量化が可能になります。