不確かさ伝播

不確かさ伝播の概要

不確かさ伝播は、システムの入力の不確かさが、出力にどう影響するかを計算します。この情報は、システムの出力をどれだけ信頼できるかを定量化するうえで欠かせません。

不確かさ伝播により、不確かな入力から出力の確率をたどる

不確かさ伝播は、想定される入力のばらつきのもとで、システムの出力が要件を満たすかどうかを判断するのに役立ちます。これにより、結果が起こる確率を見積もり、必要な公差をコスト効率よく決め、より多くの故障を起こる前に予測できます。

SmartUQは高度な確率数学を使いやすいツールで提供しており、不確かさ伝播の計算方法として、エミュレーターを使う方法と一般化多項式カオス展開(gPCE)の2つを備えています。

不確かさ伝播とは

不確かさ伝播は、システムの各入力に伴う不確かさから、システムの出力の不確かさを計算します。あらゆるモデル、予測、測定には不確かさがあります。初期条件、環境パラメータ、測定誤差など、さまざまな入力の不確かさが、シミュレーションや試験の結果に予想外の形で影響することがあります。

シミュレーションや試験の結果に含まれる不確かさの出どころと大きさを知ることは、設計や判断がうまくいくかを見極めるうえで非常に重要です。そのため不確かさ伝播は、影響の大きな判断を確かな根拠に基づいて行うための、欠かせないツールです。

不確かさ伝播の仕組みを示すフローチャート 図1:不確かさ伝播の情報の流れ
一般的なシミュレーションで不確かさ伝播を計算するときの情報の流れです。

エミュレーターを使った不確かさ伝播

これまで不確かさ伝播の結果は、モンテカルロ法のような大規模なDOEでシステムの入力を実行し、出力の挙動を観察して計算してきました。しかし大規模で高次元の問題では必要なDOEが非常に大きくなり、不確かさ伝播の計算は高価で時間がかかりすぎるものになります。エミュレーター(サロゲートモデル)を使った不確かさ伝播は、サンプリングを多く必要とする手法より速いため、広く使われるようになりました。ただ、大規模で複雑なデータからエミュレーターを作るのは計算的に難しいため、エミュレーターの利用は小さな問題に限られがちでした。

今では、SmartUQの画期的な技術によって、大規模な問題でもエミュレーターを使った不確かさ伝播が数クリックで行えます。直感的なツールで作成済みのエミュレーターをすばやく呼び出し、不確かな入力を、確率分布か、想定される運転条件や試験の記録などの既存の入力パラメータの組で定義できます。

例

エミュレーターを使った不確かさ伝播で得た出力の確率分布のグラフ 図2:エミュレーターを使った不確かさ伝播

この例では、入力変数3つ、出力変数1つのシミュレーションデータからエミュレーターを作り、不確かさ伝播を計算しました。入力変数には、想定される不確かさに基づいて確率分布を割り当てました。割り当てた入力分布のもとで計算した出力の確率密度分布が、上の図です。

一般化多項式カオス展開による不確かさ伝播

SmartUQには、使いやすい一般化多項式カオス展開(gPCE)のツールがあります。gPCEは、多変量多項式の級数でシステムの挙動を推定する応用数学の手法です。評価するシステムをスパースグリッドDOEでサンプリングし、gPCEで確率的な出力とそれぞれのランダムな入力との関数関係を近似します。この近似を使って、不確かさ伝播や感度解析の結果を計算します。gPCEは、スパースグリッドDOEに必要な点が少なく、結果の計算も速いという両面で、非常に効率のよい手法です。

出力は、gPCEによって多変量多項式の級数として表せます。多変量多項式は1次元の多項式から成り、それぞれの1次元多項式は、連続確率分布の種類ごとに最適な基底になります。この最適性は、その連続分布の確率密度関数に関する直交性から来ています。

例

一般化多項式カオス展開による不確かさ伝播で得た出力の確率分布のグラフ 図3:一般化多項式カオス展開による不確かさ伝播

この例では、入力変数5つ、出力変数1つのデータについて、gPCEに基づく手法で不確かさ伝播を計算しました。入力変数の確率分布は想定される不確かさに基づいて予測し、それを使ってスパースグリッドDOEを作りました。そのDOEでシステムを評価し、得られた出力をgPCE解析に使いました。入力の確率分布のもとで計算した出力の確率密度分布が、上の図です。