航空宇宙・防衛産業をリードする企業は、次世代の能力や技術を生み出すための大規模なプロジェクトに取り組んでいるのが一般的です。こうしたプロジェクトには、米国防総省の「デジタルエンジニアリング戦略」で取り上げられている、デジタルツインやデジタルエンジニアリング・エコシステムの開発も含まれます。規模が大きく複雑なため、物理に基づく高精度なシミュレーションでは、プロジェクト全体のうちのサブコンポーネントひとつでも、結果が出るまでに数週間かかることがあります。
これでは、設計空間の探索、最適化、不確かさの定量化(UQ)のように大量の性能予測が必要な解析を行ったり、信頼できる唯一の情報源を構築したりするには時間がかかりすぎます。しかし、こうした解析を行わなければ、設計、製造、実運用の各段階にあるばらつきや不確かさを見落とすおそれがあります。そのため、計算の速さとモデルの精度を両立させるツールや手法が求められています。
SmartUQは、高速かつ高精度な予測モデル(エミュレーター)を構築するための、最先端の統計・機械学習ツール群を開発しました。SmartUQを使えば、限られた回数の高精度シミュレーションや実験の結果から、複雑なシステムのエミュレーターを構築できます。エミュレーターからサンプリングすることで、最適化、感度解析、検証・妥当性確認・不確かさの定量化(VVUQ)、設計案の迅速な評価といった、エンジニアリング上価値のある作業を行えます。こうした統計・データ解析に基づく手法がこれから欠かせなくなるという認識は、政府の標準や覚書にも表れています。
NASAのモデルとシミュレーションに関する標準(NASA-STD-7009A)は、モデルの入力の不確かさを文書化し、出力の不確かさを推定することを求めています。4.2.7節には次のように書かれています。「どのようなM&S[モデリングとシミュレーション]も、そのモデルで調べようとしている実世界のシステム(RWS)を完全に再現・模倣するものではない。したがって、M&Sの結果の不確かさを特徴づけることは、少なくとも、その結果の質を示すひとつの方法である。」
米国防長官の諮問役である運用試験評価局長(DOT&E)は、覚書や、DOT&Eの試験評価マスタープラン(TEMP)ガイドブックの中で、モデリングとシミュレーションに統計的な手法を用いる必要性を強調しています。
2017年1月17日付の覚書で、局長は統計的なツール群の必要性を明確に述べ、「運用空間全体にわたってM&Sの結果を理解し、不確かさの定量化を支援するために、経験的モデル(エミュレーターやメタモデルとも呼ばれる)を用いるべきである」としています。
この覚書はさらに、確率論的な手法でM&Sの不確かさを定量化することの重要性と、M&Sを物理データと組み合わせたりキャリブレーションしたりできるツールの必要性を論じています。「こうした追加のツールは、不確かさ解析と誤差伝播、感度解析、データ同化など、さまざまな重要な活動を支えることができる」からです。
ロケットのフィンや航空機の翼のフラッターという設計上の懸念に対処するには、主な振動モードと振動数を定量化することが重要です。フィンや翼と気流との相互作用は、CFDソフトウェアでモデル化できます。飛行中の流れの乱れは時間とともに変化するため、これは本質的に確率過程です。さらに、燃料の消費など飛行中のさまざまな要因によって、時間の経過とともにモードや振動数が変わることもあります。そのため、特定のモードが現れる確率を時間の関数として予測する必要があります。しかし、飛行時間全体にわたってあらゆるモードを調べるのに必要な高精度シミュレーションを行うのは、計算コストが大きすぎて現実的ではありません。
そこで役立つのが、SmartUQの関数型エミュレーションの技術と、高精度な予測モデルを構築するツールです。SmartUQの実験計画法(DOE)ツールで限られた数のシミュレーション条件を選び、その結果からエミュレーター(サロゲートモデル)を構築します。エミュレーターは物理に基づく高精度シミュレーションを表す統計モデルで、高速にサンプリングできるため、振動モードの不確かさを統計的に定量化するのに必要なデータが得られます。
打ち上げロケットの乾燥重量が同じでも、目的の軌道に投入するのに必要な固体ロケット燃料の量はばらつきます。燃料が多すぎても少なすぎても、余計な費用が生じるリスクがあります。その額は、余分な質量1キログラムを打ち上げるごとに数万ドル、ペイロードを失ったり使えなくなったりすれば数億ドルにのぼります。
そのため、あるミッションプロファイルに必要な燃料量の確率分布を定量化できることが重要になります。必要な燃料量がばらつく原因は、推進薬の燃焼速度の不確かさです。この不確かさは、原材料の化学的性質のばらつきに始まり、推進薬を製造するときの処理条件、グレインをモーターケースに接着する工程まで、ロケットモーター製造のあらゆる段階にさかのぼることができます。
SmartUQを使えば、原材料の選定・調達から最終的なロケットモーターに至るまで、さまざまな不確かさがどのように組み合わさり、伝播していくかを解析できます。これにより、打ち上げを確実に成功させつつ、燃料の無駄と、不要な燃料質量を打ち上げることに伴う大きな費用を減らせます。
航空宇宙・防衛産業での不確かさの定量化についてさらに知りたい方は、SmartUQのホワイトペーパーやウェビナーENをご覧ください。