石油・ガス産業

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石油・ガス産業における不確かさの定量化

石油・ガスの生産プロセスには、未知の地質条件から、機器の製造と保守のばらつき、モデルと現実の食い違いまで、いたるところに不確かさがあります。地下に実際に何があるかは常に不確かで、まったく同じ操業環境は二つとありません。さらに、物理試験のデータにも、作業者のミスや精度の不十分な機器による不確かさが本質的に含まれています。

石油・ガスの貯留層モデル(出典:https://www.gao.gov/assets/670/662993.pdf)

シミュレーションで現実のシナリオを予測できる範囲は広がっていますが、必要な近似や仮定によって重要なパラメータや現実のふるまいが抜け落ちることから、不確かさが生じます。機器の場合は、製造プロセスのばらつきや個々の部品の履歴によって未知のばらつきが生じ、性能、製品の品質、安全性に影響することがあります。

配管システムの性能と安全性を解析する場合を考えてみましょう。不確かさは、最初の設計モデリングから、設置後のシステムの摩耗や劣化まで、あらゆる段階にあります。多相の管内流のシミュレーションでは、特定の数値ソルバー、乱流モデル、気泡径分布を使うことがあります。こうしたシミュレーションの構成要素は、どれも物理システムを近似したものであり、それぞれに不確かさがあります。管内流の物理試験には、計測機器の不正確さによる計測誤差があり、現場の条件を代表していないこともあります。配管の製造プロセスでは、品質管理を行っていても、形状や強度の指標にばらつきが出ます。使用が始まると、流体中の粒子によって配管が不確かな速度で浸食され、流れの特性が変わり、予測しにくい形で配管の強度が下がります。

上流部門でも下流部門でも、プロセスの安全性は、危険な作業環境、生産性の損失、環境の悪化を防ぐうえで欠かせません。起こりうるすべての条件で機器の設計余裕をモデル化し試験することは多くの場合現実的ではなく、現場での性能が不確かになります。下流部門の製油所や処理プラントは、米国労働安全衛生局(OSHA)の安全基準を満たさなければなりませんが、運転条件のばらつきや人的ミスにさらされており、思わぬ危険な作業環境につながることがあります。上流部門の不確かさは、間隙圧の不確かさや地質のばらつきといった物理的な要因であることが多く、坑井の安定性モデルのような早い段階でこれらを考慮しないと、予期しない故障につながることがあります。

貯留層のモデリング

課題 現状 SmartUQによる解決
複雑な貯留層の資源量を正確に見積もる。 地下のイメージング技術の改良が続けられている。 確率論的な解析を行うための高度なDOE(アダプティブDOE、DOE拡張など)。
複数のモデル(流体、亀裂、地球力学)のシミュレーション結果を組み合わせる。 貯留層モデルの効率が上がってきている。 大規模化するシステムにも対応できる、精度が高く当てはめの速い画期的な統計的予測モデル。
地下のデータが少なく、ノイズが多い。 最適化に基づくヒストリーマッチング。 地質条件や地下の不確かさの影響を予測する高度なUQツール。
地下モデルを選ぶ基準を改善する。 キャリブレーションや逆解析を従来のDOEで行っている。 DOEの収束の見積もりを組み込み、結果への確信を高める。
従来の手法ではシミュレーションのサンプリングが非効率。 確率論的な解析を、モンテカルロのDOEと単純な応答曲面モデルで行っている。
モデルの不確かさを、意思決定のためのリスクに置き換える。

掘削のモデリング

課題 現状 SmartUQによる解決
解析的なモデルでは、掘削のふるまいをすべてはとらえられない。 ニューラルネットワーク、回帰モデル、信号分解ツールの利用が増えている。 大規模なデータセットをサブサンプリングし、スライスして、扱える大きさにする新しいツール。
掘削試験を行える機会が限られている。 信頼性が高く柔軟な坑内計測機器の利用が増えている。 必要な精度を保ちながら、シミュレーション回数を減らすDOE。
操業環境が地下にあり、ほとんど観測できない。 掘削性能の指標に絞った統計モデルをつくっている。 大規模で高次元の複雑なシステムの予測モデルを構築する。
掘削の不確かさのために軌道の目標を外すと、生産コストが上がる。 データ解析を掘削制御システムと統合し、費用のかかる坑内の故障を防ぐ。 予測モデリングでできること:想定される地盤条件とリグの構成から「モデル」を予測し、地質条件、計測値、掘削プロセスのパラメータから生産への影響を予測する。

機器の設計

課題 現状 SmartUQによる解決
ますます過酷になる条件のもとで、システムの高い信頼性を保たなければならない。 機器の開発で、決定論的なCAEが広く使われている。 独自のDOEと強力な感度解析で、重要なパラメータを特定する。
試験の選択肢がほとんどない。 設計作業での計算クラスターの利用が増えている。 計算コストの大きい作業に予測モデル(サロゲートモデル)を使い、「少ないリソースでより多くのことを行う」。
意味のある結果が出るまでに、シミュレーションに数時間から数日、数週間かかることがある。 より多くの情報を生かそうとして、解析がますます複雑になっている。 強力な不確かさの定量化ツールで、ばらつきが機器の性能に与える影響を明らかにする。
ばらつきがあるため、実際の性能を見極めにくい。 改善を模索している:より正確なモデルをつくる、ばらつきがあるなかでの性能をよりよく理解する、「少ないリソースでより多くのことを行う」。 不確かさを定量化することで、開発プロセスの重要な局面で効果的な意思決定ができる。
物理試験では、ごく限られた条件のデータしか得られない。
分野をまたぐ問題では、領域どうしが切り離されていることが多く、実行可能な解を見つけにくい。