半導体プロセス装置メーカーのための機械学習と不確かさの定量化
SmartUQの機械学習、実験計画法、不確かさの定量化のツールを使えば、半導体製造装置のメーカーは、マルチフィジックスのシミュレーションを高速化し、リアクターのハードウェア設計を最適化し、センサーデータに合わせてプロセスをキャリブレーションし、実際の運転条件のばらつきのもとで故障に至る境界を明らかにできます。
半導体製造装置の各分野での主な適用例
プラズマエッチングとPECVDのリアクターのモデリング
プラズマのダイナミクスとRF電力の供給には、強い非線形性、複雑なプラズマと表面の反応、電磁場と流体の連成が関わります。
- マルチフィジックスの高速なエミュレーション:SmartUQは、計算コストの大きいプラズマや熱流体のシミュレーションから高精度なサロゲートモデルを構築します。エンジニアは、ガスの流れ、温度勾配、チャンバーの圧力、電磁場をすばやく評価できます。
- 故障・合否判定のためのアダプティブDOE:プラズマ源の試験やチャンバーのハードウェア(RFアーキングや絶縁破壊の防止など)では、SmartUQのアダプティブDOEとベイズ的なコンター探索が、境界や不確かさの大きい領域を重点的に調べます。少ないシミュレーションと物理試験の繰り返しで、安全な運転ウィンドウを描き出せます。
ウェット処理とウェーハ洗浄
枚葉式のウェットエッチング、洗浄、スピンリンスの装置では、欠陥を防ぐために、流れの均一性と境界層を厳密に制御する必要があります。
- 流体力学のサロゲートモデル:多相流のCFD計算をサロゲートモデルで高速化し、ノズルの配置、噴霧の軌道、ウェーハの回転速度を最適化します。
- 大域的感度解析:装置のどの許容差(薬液の吐出量、回転速度、リンスのタイミングなど)が、境界層のばらつきとパーティクルの除去効率に最も大きく影響するかを特定します。
- 信頼性ベース設計最適化:応力や薬液による腐食を最適化するときに製造と運転の不確かさを取り込み、シール材、バルブの寿命、薬液チャンバーの耐久性を最適化します。
化学気相成長(CVD・ALD)
均一性と温度の制御:300mmウェーハの表面全体で原子層レベルの均一性を実現するには、プリカーサーの精密な供給と、マルチゾーンヒーターの調整が欠かせません。
- ベイズ統計に基づくキャリブレーション:マルチゾーンの熱とプリカーサー反応の複雑なモデルを、物理的なセンサーアレイ(多点の熱電対、発光分光分析など)と整合させます。直接観測できない反応速度論を切り分け、試作機をすばやくキャリブレーションできます。
- マルチフィデリティのデータ融合:数多くの低精度な2次元熱流体モデルと、まばらで高価なチャンバーの実測値を統合して、装置ごとの違い(機差)も考慮した信頼性の高い予測モデルを構築します。
- プロセスウィンドウの最適化:データが集まるほど学習していく高度な最適実験計画とベイズ最適化のツールを使い、ガスの供給、プリカーサーのパルスのタイミング、真空度にわたる高次元の設計空間を探索します。
装置のデジタルツインとリアルタイムの装置診断
ますます厳しくなる公差の要求に応えるためにプロセス装置が複雑になるなか、装置の予測モデルはプロセス制御に欠かせない要素になっています。
- FMUによるデジタルツインの展開:学習済みのサロゲートモデルを、FMU(Functional Mock-up Unit)や、PythonまたはC++のAPIで使うバイナリオブジェクトとして書き出せます。装置のコントローラーのソフトウェアや工場の監視システムの中で、リアルタイムに動かせます。
- 予知と健全性管理(PHM):センサーデータを、物理ベースのシミュレーションのサロゲートモデルと比較・統合して、部品の劣化を監視し、熱による摩耗を評価します。装置のドリフトが欠陥を生む前に、予知保全を計画できます。
熱力学シミュレーションの関数型エミュレーションの事例
SmartUQは、米フォーチュン500に入るある半導体メーカーと協力しました。このメーカーは、半導体のエンジニアリングプロセスの一部で、非常に詳細な粒子エネルギーのシミュレーションを使っていました。この高精度シミュレーションは計算負荷が大きく、使える場面が限られていました。しかも、シミュレーションの応答は複雑なエネルギー密度関数で、エミュレーションが難しいものでした。
SmartUQの高度な連続値エミュレーションと関数型エミュレーションのツールを組み合わせ、少ない回数のシミュレーション結果を学習データにして、シミュレーションの応答をエミュレーションしました。このエミュレーターは、シミュレーションの入力パラメータに対して、粒子のエネルギー密度関数の関連する特性と形状を正確に予測できます。
このプロジェクトで示したエミュレーションの手順とツールによって、顧客は以前よりはるかに速く、少ない計算リソースで、プロセスの変更を評価し、設計を最適化し、欠陥の根本原因を調べられるようになりました。